災害時における家庭支援の手引き 『 乳幼児を持つ家族をささえるために 』
 市民の皆さまへ  日本子ども家庭総合研修所・監修
  「災害時における家庭支援の手引き」編集委員会・編
災害を体験した子どもたち  〜こころのケア〜
 災害を経験した多くの子どもたちは、大人と同じような恐い思いや悲しみを感じて不安定になっています。災害からかなり時間がたってから症状が出てくることもあります。周囲の皆さんから手をさしのべていただくことで、子どもは徐々に元気を回復していくことができます。お力添えください。

こんな様子はありませんか
 災害のあと、子どもたちに次のような様子が見られることがあります。
ささいなことにおびえる
赤ちゃんがえりがある(トイレに一人で行けない)
表情が乏しく、ぼーっとする
寝つきが悪い、眠れない
夜泣きをする
おどおどしている
興奮して落ち着きがなくなる
反抗的でわがままになる
食欲がない、はきけ、腹痛、めまい、おねしょ・おもらしがある
 この症状の他にも、恐かった時のことを思い出して急に興奮したり、現実にないことを言い出したり、恐い夢を繰り返し見たりすることがあります。
 また、災害により家族、知人、家、ペットや宝物を失って、精神的に混乱したり、泣くことができず無表情になったり、食事も取れないくらい不活発になる子どももいます。これらの症状は特別異常なことではなく、災害に遭遇した場合には、普通に見られるむりからぬ症状です。適切に対応してもらうことで、乗り超えることができます。

次のような関わりをしましよう
スキンシップなどで安心感を与えて下さい。
「しっかりしなさい」などと励まさないで下さい。
「もう大丈夫」「守ってあげるから安心だよ」は何度言っても良いです。
「あなたが悪いんじゃないからね」と言ってあげてください。
子どもが話したがったら、途中でさえぎらずに最後まで聞いてあげて下さい。
感情はできるだけ表現させましょう。泣いてもいいのです。
年齢に応じて災害の状況を説明し、取り残されているという感覚を与えないで下さい。
症状は誰にでも起きるもので、助けを求めるのは恥ずかしいことでないと言ってあげて下さい。
遊びなど活動的に動ける機会を作ってください。
大人と一緒に手伝いをさせて達成感を持たせてください。
子どもが一人でいたら声をかけてください。

こんなことに気をつけて下さい
子どもたちは、深刻な不安を抱えていても表面的には元気に見えることがあります。気になることがあったら、話を聞くようにすることが大切です。
子どもたちは、災害の絵や遊び、お話しをとおして不安や恐さを表現し、ショックを乗り越えることがあります。やめさせようとしないで、見守ってあげてください。
恐ろしい体験や不安は一度にその全てを受け入れることはできません。時間をかけて、根気よく接していきましょう。

 
子どもさんのことでお困りのようでしたら、ひとりで悩まずに、相談にいくことを勧めてあげてください。
 症状がひどくなったり長引いたりした時、また対応にお困りの時は、どんなことでも結構ですので相談してください。
(神戸市児童相談所のパンフレットより)