9) ゲーム脳
松井 俊晴
 テレビ・ビデオとならんでテレビゲ−ムや携帯型ゲ−ム(以下ゲ−ムと略します)は、子どもたちや若いお父さん・お母さん方にもなくてはならないもののようになっていると思われます。しかし、ゲ−ムには以下にあげるような弊害があげられています。
 1、寝不足になる。
  ゲ−ムの場合は脳が非常に興奮状態になるために、実際の睡眠時間は十分にとっているつもりでも熟睡ができず、ちゃんと眠れていない事が多いのです。寝不足が子どもの身体や脳の発達に悪いことは言うまでもありません。
 2、次にあげるような体調不良を訴えることが多くなる(特に学年が上がると目立ちます)。
  腹痛・頭痛・胸痛・嘔気・食欲不振・疲れやすい・顔色不良・微熱・体重減少など。
 3、イライラする頻度が増える(キレやすくなる)。
  2、3、のうちの1つか2つでも思い当たることはありませんか?身体の病気の心配はもちろんですが、ゲ−ムを毎日(30分以上)やっていないかどうか見直してください。1週間ゲ−ムを止めただけですっかり良くなることがあります。
 4、ゲ−ムを長時間(毎日1-2時間)続けると、脳の前頭前野の働きが悪くなるという研究があります。
  前頭前野とは、最近流行の「脳トレ」で鍛えられる脳の中の脳とも呼ばれている重要な場所で、創造力や記憶を良くする・感情の制御・衝動的な行動の抑制・集団でのコミュニケーションを上手く行う、など様々な高度な精神活動をつかさどっています。ゲ−ムのやりすぎでここの働きが鈍ると、創造力や記憶力が悪くなる・感情が制御できなくなる・キレやすくなる・人との会話ができなくなる、などというものです。
これは、前頭前野を鍛えるために脳トレゲ−ムを子どもにやらせると良い、という意味ではありません。脳トレゲ−ムは脳の膠着化した大人がやるもので、子どもにはまずメディアから離れて本を読む・外で身体を動かして遊ぶ・室内でもトランプや盤ゲ−ムなど昔ながらの遊びが良いのです。
 また、ゲ−ムはテレビ・ビデオと比べると少し年長児になってから始めて、一度習慣化してしまうとやめる事は非常に困難を伴います。特に小さいうちから始めるほど悪影響が出やすいといわれています。

以上の理由から、ゲ−ムを与えない・できるだけ与える時期を遅くする・与える時には時間を決めて必ず守らせる(1日30分まで)ように心がけた方が良いと思います。子どもとしっかり約束をして、毅然とした態度で約束を守らせる姿勢が大切です。
 また、お父さん・お母さんがゲ−ム好きで、子どもと一緒になって(もしくは子どもはそっちのけで)夢中になって遊んでいないでしょうか?少なくとも子どもが起きている時間は、子どもと一緒に本を読んだりゲ−ム・テレビ・ビデオ以外のことで遊んであげるようにしてあげて下さい。