おしゃぶりは、舌や顎の発達を助けて鼻呼吸を促すという宣伝文句があり、乳児が泣いたときに泣き止ます手段として安易に使用していることが多いですが、小児科と小児歯科の保健検討委員会の見解からは、欠点が多いものです。
小児科と小児歯科の保健検討委員会でおしゃぶりの望ましいあり方について検討を行なった結果は次の通りです(日本小児科医会ホームページより抜粋)。
1)おしゃぶりが咬合(噛み合わせ)に及ぼす影響
おしゃぶりと乳歯の噛み合わせとの関係の調査では、おしゃぶり群で開咬が高頻度にみられるという結果と、年齢が高くなるまでおしゃぶりを長期に使用すると乳前歯部が開咬となりやすいという結果を得ています。いずれの調査もおしゃぶりを長期に使用すると噛み合わせに悪い影響を与えることを示しています。
2)おしゃぶりの使用年齢と噛み合わせ
おしゃぶりを使用している子どもは、使用していない子どもと比較して上顎前突、開咬および乳臼歯交叉咬合の発現率が極めて高くなります。この傾向は1歳6か月、2歳でも見られますが、止めると噛み合わせの異常は改善しやすいようです。しかし、乳臼歯が生え揃う2歳半、さらに3歳過ぎまで使用していると噛み合わせの異常が残ってしまいます。小児歯科の立場からすると2歳までに止めて欲しいとのことです。
3)おしゃぶりの利点と欠点
利点としては精袖的安定、簡単に泣き止む、静かになる、入眠がスムーズ、母親の子育てのストレスが減るなどが挙げられます。おしゃぶりの宣伝に使用されている「鼻呼吸や舌や額の発達を促進する」ということは、現時点では学問的に検証されていません。欠点としては習慣性となりやすく、長期間使用すると噛み合わせが悪くなる、子どもがどうして泣いているのかを考えないで使用する、あやすのが減る、ことば掛けが減る、ふれあいが減る、発語の機会が減るなどが挙げられます。5−6か月以降の乳児はなんでも口へ持っていってしゃぶり、形や味、性状を学習していますが、おしゃぶりを使用していると手で掴んでも口へ持っていくことができず、このような学習の機会が奪われることになります。親の働きかけに対する声出しや、自分からの声出しもできないので、発達に必要なこのような機会が失われる可能性があります。
4)おしゃぶり使用の考え方
おしゃぶりは出来るだけ使用しない方がよいですが、もし使用するなら咬合の異常を防ぐために、次の点に留意してください。
発語やことばを覚える1歳過ぎになったら、おしゃぶりのフォルダーを外して、常時使用しないようにする。
おそくとも2歳半までに使用を中止するようにする。
おしゃぶりを使用している間も、声かけや一緒に遊ぶなどの子どもとのふれあいを大切にして、子どもがして欲しいことや、したいことを満足させるように心がける。子育ての手抜きとし便利性からだけでおしゃぶりを使用しないようにする。
4歳以降になってもおしゃぶりが謔黷ネい場合は、情緒的な面を考慮してかかりつけの小児科医に相談することを勧める。
このように、おしゃぶりは出来れば、使用しない方が良いようです。個人的にも診察室で歩き回っている子どもたちが、おしゃぶりをしている姿は異様に感じていましたので、おしゃぶりを使用するのであれば、上記のことに注意して使用することをお勧めします。 |
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