25)子育てのはてな その3

「首にコロコロしたしこり」

首や後ろ頭に小さなしこりをみつけて受診される方がいらっしゃいます。実際は、ほとんどが正常なリンパ節です。首の両側や後ろ頭などを丹念に触っていくと皮下にコロコロしたしこりを触れます。「悪性のできものか?」と心配されますが実は体を守る免疫組織のひとつです。リンパ節の中には免疫を担当するリンパ球という細胞が集まっています。風邪をひいたり皮膚炎があると反応して腫れたり、痛くなったりします。むしろこれはリンパ節が本来のお仕事をがんばっている姿です。

「夜泣き」

夜泣きは生後6カ月を過ぎるころからみられることが多いです。知恵がつきいろいろわかる時期から始まるという意見もあります。しかし、おなかがすいていたり、のどがかわいていたり、おしっこやうんちという場合もあるかもしれません。おむつを点検して、抱っこしたりあやしたり、それでも泣き止まないようならおっぱいやミルクをあげます。毎日、夜中の決まった時間に必ず泣く子もいます。睡眠中は深い眠りと浅い眠りを周期的に繰り返しているため、眠りが浅くなる時期に泣くのです。むしろ、注意が必要なのは、いつもと違う時間に泣くとか、いつも泣かないのに夜泣きがみられた場合です。風邪で体調が悪いとか、急性中耳炎で耳が痛いと夜泣きます。いつもと違うということに親は敏感になるべきです。

「緑の便が出た」

赤ちゃんの便の色が緑色になったと心配して受診する方がいます。これは腸の中が乳酸菌などの影響で酸性になり、消化液の胆汁の色素が黄色から緑に変色したためです。病気の症状ではありません。

「白い便が出た」

また、便の中に白いブツブツが混じっていることがあります。これは便の中の脂肪分がカルシウムと反応してできたもので、消化不良ではありません。しかし、下痢便で全体が白い場合は感染性胃腸炎の症状のひとつです。

「黒い便が出た」

時に、便の中に黒い糸状のものが混じることがあります。一時的なことで特に病気ではありません。不要になって脱落した腸の粘膜の組織という説があります。ただし消化管の出血があると黒い便になることがあります。その便を持参して診察してもらうといいです。

「赤い便が出た」

赤ちゃんの便のなかにぽつんと点のような、あるいは糸のような血液が混じることがあります。このような出血は、大腸リンパ濾胞(ろほう)増殖症と呼ばれています。これは、大腸のリンパ組織が腫大して消化管内に突出し、こすれて少量出血するものです。母乳栄養児に多く、生後6カ月頃にみられなくなります。赤ちゃん自身のご機嫌はよく、飲みかたも普通です。

また、離乳期にはニンジン、トマト、スイカなどの赤い色がそのまま出てきて、出血ではないかとあわてることがあります。赤ちゃんは消化機能が未熟なために、食べたものがそのまま出てくることがあるのです。この場合も赤ちゃんは元気です。

一方、赤ちゃんが不機嫌で食欲がない場合は急ぐ病気のことがあるので要注意です。下痢便の中に粘液と血液が混じっている場合は感染性胃腸炎が考えられます。細菌性腸炎の場合もありますのでその便をもって早めに受診が必要です。また、おなかが痛そうに強く泣いていちごジャムのような血が混じった便が出た場合は腸重積という病気が疑われます。この場合は一刻も早く治療を行う必要があります。