24)子育てのはてな? その2
「抱きぐせがつく」
「抱きぐせがつくから泣いてもすぐに抱っこしないほうがいい・・」と言われたがどうすればいいかいう質問がありました。ママに「泣いたときどう感じますか?」と尋ねると「抱いてやりたくなります」とおっしゃいます。たぶんそれがヒトとしての自然な答えだろうと思います。また、発達をうながす観点からみても、抱いてやったほうがいいです。抱っこされ、みつめられ、語りかけられること、それらがすべて刺激となって発達をうながします。泣くのは赤ちゃんの言葉です、抱いてもらえたという返事がくることで胎内では経験できなかった他者からの働きかけを感じ取っていきます。他の人と親密に触れ合い、安心する経験を「くせにする」のであれば「抱きぐせ」は結構いいものだと思いませんか?泣くという自分の言葉に、誰かが必ず答えてくれるとしたら、そのような自分への自信と、外の世界への信頼感につながると思いませんか?
しかし、忙しいママには手が離せない時もあります。「今行くから待っててねぇ」と声をかけながら、待っていてもらう経験だって大切かもしれませんね。この世の中そんなものですから。
「おんぶはいつから」
ママの背中におんぶされた弟が、お兄ちゃんの予防接種の様子を落ちそうなくらい身を乗り出して見ていることがあります。おんぶは前抱っこにくらべて視野が広がり脳への刺激が多くなります。また、背伸びをする運動などが発達によいという指摘があります。私は「おんぶは首がすわってから」と話していましたが、先日、尊敬する南部春生先生の本を見ていたら一カ月を過ぎたらおんぶができると書いてありました。赤ちゃんの背筋力はとても強いからだそうです。ただし首が座るまでは頭を支えるホルダーが必要です。
小児科は時間外で受診されることの多い科です。生後三カ月くらいの乳児が「どうしても泣きやまない、病気かもしれない」と心配されて受診される方がいらっしゃいます。病気の所見がないかどうか診察させていただき、異常のない場合は「三カ月疝痛」と説明することが多いです。「夕暮れ泣き」とか「たそがれ泣き」という言い方もあるようですし、外国では「コリック」と言われています。つまり世界中のママたちがこの「赤ちゃんが泣きやまない」で困っていらっしゃるわけです。夕暮れや夜が多いですが、それ以外の時間にもみられます。生後半年を過ぎることからみられなくなるようです。なぜ赤ちゃんが泣くかは、はっきりとわかってはいません。大事な赤ちゃんが泣き続けるというのは親にとって不安が大きく、焦り、疲労していきます。心配で受診しようと外に出たら泣きやんだり、車に乗ったら泣きやんだりすることもあります。しかし、季節や時刻もありますから、その度に外出できるわけでもありません。抱っこして別のことを考えながら(赤ちゃん以外のこと)部屋の中を歩き回ると泣き止むこともあると聞きました。とはいえ、赤ちゃんにはこんなことがあるのだと割り切っていただくことが大事だと思います。