20)子育ての目標 その5
子どもの困った行動
先回、子どもの困った行動について解説しました。困った行動が単なる失敗ならば、そこから何を学べるかを援助していきます。困った行動の目的が「親の注目・関心」であればさりげなくスルーしていればいいです。しかし、問題があります。親がいつも冷静でいられればいいのですが、親の方がついかっとなって・・、ということもあるのです。親が感情的になっていると、子どもによい援助はできません。そこで今回は感情について考えてみます。
トラに出会う
たとえば、トラに出会ったとします。きっと一瞬で恐怖感がわきあがり、すたこらさっさと逃げ出します。恐怖感という感情を使うことで瞬時に逃げることに成功します。「この黄色と黒の動物はたぶんトラであろう。そうすると、おそわれたら死ぬ可能性もある。ここは逃げた方がいいかもしれない」などと冷静に思案していたらたぶんトラに食べられてしまいます。自宅を出た後、ふとコンロの火を消したかどうか不安になると、わざわざ戻って確かめたりします。不安感という感情を使って予定外の行動をとるのです。ついかっとなって怒りの感情を相手にぶつけると、相手はしぶしぶ言うことを聞きます。怒りの感情を使って相手の行動を支配しようとしています。ここで確認していただきたいのは、私たちは何らかの目的をもって感情を使っているということです。
怒っている時の身体の感じ
何かで腹が立った時に、自分の身体の感じを観察してみてください。肩や背中が硬くなるとか胸がつまるような感じとか、頬が突っ張るような感じとか、人によって違いますが、怒った時の自分の身体の感じをつかんでおくと、自分の怒りの感情に気づくことができるようになります。そして、身体の感じから自分の「怒り」に気づいたら、そのままアクセル全開にして進むか、クールダウンして他の方法を探すかは自分が選択します。怒りをどう使うかは自分で選ぶべきです。
どうしたいのか
身体の感じから自分の「怒り」に気がついたならば、自分はいったいどうしたいのかを考えてみてください。怒りの感情には目的があり、相手がいます。それは「この子のこれをやめさせたい」「この子にこれをさせたい」といったことです。子どもは怒られれば委縮してやめるかもしれませんが、今後につながるよい学びは残りません。親の注目・関心が欲しくて「困った行動」をする子を怒ると特大の注目を与えたことになり、その行動は続くかもしれません。子どもに良い援助をしたいならば、怒りを使うことはあまり得策ではないようです。
子どものよい援助者になる
子どものよい援助者になるためには、自分が感情的になっている時はあまり無理をしないことです。急がない方がいいです。冷静になってからどうすればいいかを考えます。子どもが成長して自然に良くなることもあります。例外は怪我や破損などの危険がある場合です。その場合は即介入し止めに入ります。