4)チャイルドシート

新潟県は全国37位!!

 全国37位というのはチャイルドシートの使用率のことです。本県の使用率は52.5%で全国平均の61.9%を下回りました。そのため新潟県では3月を「シートベルト・チャイルドシート着用強調月間」としてその使用を呼びかけています。チャイルドシートを使っていない場合、死亡重傷率は約3倍に増えます。新潟県の子どもの半分は今でもこの3倍危険の状態でいるということになります。

近所、法定速度、追突

 つい最近、私の診療所の近くで追突事故がありました。チャイルドシートを使っていなかった乳児は車内で激しくぶつかり救急搬送されていきました。「家はすぐ近所ですぐに着くから」「スピードは出さない安全運転をするから」など、日常のちょっとした場面にも大きな落とし穴があります。遠出の時やスピードを出している時のほうが事故にあいやすいと考えがちですが、実際の事故は「家の近所を法定速度内で走行している時」や「信号待ちをしている時」に発生し、正面衝突より追突されるケースが多いといわれています。

チャイルドシートを嫌がる

 「子どもが嫌がってチャイルドシートに乗せられない」とか「近場なら同乗者の抱っこで済ませる」という声も聞きます。急いでいる時などに嫌がる子どもをチャイルドシートに乗せるのは容易なことではありません。実際、使わなくても事故にあうことは確率的には少なく、昨日も大丈夫だったから今日もきっと大丈夫・・といつわりの安心感がでてきます。これも大きな落とし穴です。子どもには、生まれたときから常に例外なくチャイルドシートを使い続けることが重要です。そこが自分の指定席だと思ってもらうことが望ましいのです。また、どんなにしっかりと抱いていても、たとえば時速40km/hで衝突すると瞬間的に体重の30倍以上の力で前に投げ出されます。体重10kgの子どもは300kg以上になるのです。腕の力でそれを止めることは到底不可能です。

新潟市民病院での調査

 新潟市民病院小児科の阿部裕樹先生が、交通事故で新潟市民病院に受診した6歳未満の子どもについて調査しました。その結果、チャイルドシートを正しく使用していた方の77%は何の怪我も負っていませんでした。一方で装着なしの方ではほぼ同じ79%が、軽症以上の怪我を負っていました。このうち2名は命を失いました。両者の差は歴然としています。

チャイルドシートを使い続ける決心

子どもの周りにいる人、祖父母やパパが「使わなくても大丈夫」という意見だったりすることも使用率に影響します。子どもの家族だけでなく、社会全体が一致して協力し声をかけ合うことが大切です。子育ての日常は「近所だけの移動」、「子どもが嫌がる」の連続です。でもその手間を惜しんだことでそれまで大切に育ててきた子どもの命が奪われたり、後遺症が残ったりしたら大変です。さあ、ぜひ今日ただ今からチャイルドシートを使い続ける決心をいたしましょう。