3)インフルエンザの今昔

 インフルエンザの流行期を迎えています。今シーズンは例年より流行開始が早めであり、すでにインフルエンザにかかってしまった方もいらっしゃるかもしれません。ご家庭でのインフルエンザ予防対策は、人混みを避け、外出後は手洗いを徹底、マスク着用、バランスのとれた食事と十分な睡眠、適度な湿度(50~60%)などがおすすめです。また、今の時期に急に発熱したらインフルエンザの可能性が高いので、医療機関を受診してください。診断が確定すれば適切な治療と安静ですぐによくなると思います。よくなっても保育園や幼稚園、学校は登校(園)の目安が決められていますので、登校(園)許可をもらうまではお休みです。さて、以上が伝えたいことですが、以下は雑談でインフルエンザの今と昔についてお伝えしようと思います。

昔から知られていたインフルエンザ

 インフルエンザについて記載されたものを調べてみると、紀元前のギリシャの医師ヒポクラテスがインフルエンザの流行と思われる記録を残しています。日本では平安時代から「しはぶき」という名前で呼ばれていたらしく、源氏物語の夕顔にもその記載があるようです。20世紀に入り、インフルエンザによる世界的な大流行が3つありました。第一は大正7年のスペインかぜ。日本では約39万人が死亡しています。第二は昭和32年のアジアかぜ、第三に昭和43年の香港かぜ。これらのインフルエンザウイルスは、その後も少しずつ変異をしながら流行を繰り返し現在に至っています。

インフルエンザウイルスはカモのウイルス

 インフルエンザウイルスはもともとカモの腸の中にいるウイルスです。何かの機会に豚などの哺乳類などに感染するうちに、変異してヒトに対する感染力を獲得し流行が始まります新潟は冬になるとカモが渡ってきますが、特別な場合を除き直接ヒトに感染することは無いようです。しかし、死んでいる鳥を素手で触ることはやめたほうがいいです。

インフルエンザの診断と治療

 以前は、発熱などの症状と身体所見、地域の流行の状況からインフルエンザの診断をしていました。平成10年頃に鼻水による迅速検査が使えるようになりました。当時としては、病初期に確定診断ができるというのは画期的なことでした。さらに平成13年、タミフル?とリレンザ?が登場しました。実際に使ってみると短期間に解熱し、効果の手応えをしっかり感じることができました。インフルエンザの診断と治療は大きく進歩したのです。

最後にインフルエンザワクチンのこと

 日本でインフルエンザワクチンが使われるようになったのは昭和26年頃です。その後、発熱などの副反応を少なくするための改良が続けられ、現在のワクチンに至っています。以前は学童への集団接種が行なわれていましたが、集団防衛から個人防衛に移行するかたちで平成7年に中止となり、それ以降、任意接種として続けられています。インフルエンザワクチンの乳幼児の発症阻止効果は20~30%とされており、完全に発症を予防できるものではない事が問題です。しかし乳児期はインフルエンザ脳症合併という危険があります。たとえ20~30%であってもインフルエンザ発症が阻止できるのであれば脳症の危険もその分減るわけですから私は接種を行うことをお勧めしています。