2)秋に注意すべき子どもの健康
秋に流行る風邪
ひとくちに風邪と言っても、鼻風邪、のどの風邪、咳風邪、あるいはお腹の風邪などさまざまです。最近は、風邪の原因ウイルスが比較的よくわかるようになってきました。そのため、風邪と言わずに○○ウイルス感染症と呼ぶことも多いです。秋頃から冬にかけて増える風邪の中では、RSウイルスに注意が必要です。このウイルスは乳児に気管支炎をおこします。喘息のようなゼーゼーをともなう激しい咳になります。呼吸状態が悪化すれば入院治療が必要になります。乳児で咳き込みが激しい場合はこのRSウイルス感染症を念頭に置き、注意深い経過観察が必要です。RSウイルスは毎年流行し、子ども達は毎年感染を繰り返しますが、次第に症状が軽くなっていきます。
年末が近づく頃に目立つのはノロウイルス感染症です。突然嘔吐で始まります。1〜2日で嘔吐は回復しますが、下痢を伴う場合もあります。楽しみにしていたクリスマスケーキを目の前にして吐き出した、などという話はよく聞きます。大人への感染もあります。嘔吐を繰り返す時は飲食を控えて水分を少しずつ与えていきます。ノロウイルスは強力な感染力があります。家庭内で、嘔吐した床を消毒する時は、500mlの空のペットボトルに、ペットボトルキャップ2杯の塩素系漂白剤(ハイターなど)を入れ、水を加えて全体を500mlにしたものを使います。子どもが誤って飲まないよう厳重に注意が必要です。あるいは、85度の熱湯に1分以上つけるのも有効です。
インフルエンザの予防接種
毎年10月から12月はインフルエンザワクチンの接種時期です。子どもは2週から4週の間をあけ2回接種をします。ワクチンはA型が2種類、B型が1種類含まれている混合ワクチンになっています。接種後から半年ほど効果が持続すると言われています。残念ながら接種しても罹患する場合もあり、絶対安心とまでは言えないのが欠点です。しかし乳幼児はインフルエンザ脳症などの危険な合併症もあります。インフルエンザにかかる率がわずかでも減るのなら、脳症もそれだけ減るとの願いを込めて接種をお勧めしています。
寒い季節は皮膚の乾燥がすすむ
気温が低くなり、寒さを感じる季節となってきました。個人差はありますが子どもは大人に比べると乾燥肌傾向があります。乾燥肌は皮膚防御力が減り、かゆみや湿疹、皮膚炎を起こしやすくなります。乾燥肌体質のお子様は、普段から保湿剤をたっぷり使って、皮膚をいい状態に保つことをお勧めいたします。