37)子どものてんかん
てんかんは、生まれたての赤ちゃんから高齢者まですべての年齢で起こる脳の病気です。特に小児期に発病することが多く、子どもによくある身近な病気の一つです。
てんかんの原因はとても多彩で、さまざまな病気に伴う場合や、いろいろ調べても原因がわからない場合があり、てんかんを治療するためにはその発作の型や種類、原因に至るまで、正確な診断をつけることがとても大切です。
ある日突然、予期せぬ症状、いわゆる発作で始まるので、そばにいた家族や保育園・学校の先生はとても驚くことでしょう。しかし、ほとんどの発作は何もしなくても数分で自然に治まることが多いため、発作を目撃したら落ち着いて症状をよく観察してください。後に医師にどんな状態であったかを細かく説明できると、発作の型やてんかんの種類を診断するのにとても役立ちます。できればスマートフォンで動画を撮っておいてください。
発作が起こった場合、問診のほか、血液検査や脳波検査などを行い、てんかんの発作か、熱性けいれんなどてんかんではない発作なのかを判断していきます=図参照=。
家族がてんかんだと思ってもそうでないことや、逆にてんかんだと思っていない症状がてんかんの発作であるという場合もあります。例えば、突然の嘔吐(おうと)の後にぐったりするけれど自然に元に戻るという症状が、実はてんかんの自律神経発作の場合があります。また、時々数秒〜10秒くらいボーっとするけれど、ただ疲れているのかな?と思ったら、てんかんの欠神発作ということもあります。
このように、発作の型はさまざまであり、突然の発作症状が起こったらそれが本当にてんかんなのか、てんかんだとしたらどのタイプなのかを正確に診断することが、てんかん治療の第一歩になります。
基礎疾患として、脳神経系に何らかの病気を認める子どもに起こるてんかん発作は、止まりにくいことがあります。一方、健康な子どもに突然起こり、原因が見つけ出せない特発性てんかんは、大人になる前に薬を中止できたり、薬を飲まずに治ったりする良性のてんかんです。
同じ「てんかん」でもたくさんの種類があり、それぞれに治療法も予後も違うということを、ぜひ皆さんに知ってほしいと思います。
坂内優子(坂内小児科医院副院長、三条市)