35)気掛かりな発達・行動

 子育てする中で、育てにくさがあったり、子どもの発達や行動面に気掛かりなことがあったりする場合、相談できる場は重要です。

 医療機関でも相談できますが、それぞれの地域において、小児科医が乳幼児を対象に発達や関わり方の相談に乗る、「療育相談・発達相談」を実施しています。

 子どもは、知的な面や運動面だけでなく、社会性や注意・行動のコントロールの面も重要で、それぞれが影響し合って発達します。

 例えば言葉の発達は、物には名前があることが分かるという認知だけでなく、相互的な人との関わりに必要な社会性が発達することで、発語や会話につながっていくのです。

 不得意の程度が大きい場合、医学的には「発達特性」と言い、それにより大きな困難がある場合には「発達障害」と言います。発達障害という診断がつかない場合でも、発達特性のある子どもは多くいます。

 診断の有無に関わらず、子どもの不得意なこと(子どもがうまくできず困っていること)に対して大人が関わる工夫をすることが、その子らしく育つ助けになります。

 例えば、言葉の遅れがあるときは大人が実物やジェスチャーを見せて、簡潔な言葉を添えて分かりやすく伝えてあげます。また、子どもからのサインをよく受け止めて返してあげます。

 初めてのことや、行動の切り替えが苦手な子どもには、生活リズムを整え、見通しをもてる工夫をしてあげます。初めてすることは見学から始めるとか、安心な人と一緒に段階を踏んで経験するのもお勧めです。

 切り替えは、タイミングよく次にやることを示してあげて、お楽しみとからめて誘います。かんしゃくが多いときは、きっかけと行動、そして結末を分析します。かんしゃくのきっかけとなった物を減らし(テレビは突然消さないで区切りのいいところで消す、好きなお菓子を目に入るところに置かないなど)、かんしゃくで子どもが結果的に得をすることがあれば改めます。

 子どものよい行動を褒め、できるように助けるという肯定的な関わり方が何より有効です。子育てに心配があるときは、地域の相談窓口や保健所にご相談ください。

 福島愛(県はまぐみ小児療育センター小児科)