24)川崎病
川崎病は、4歳以下の乳幼児に好発する原因不明の病気で、この病気を見つけた川崎富作博士の名前をとって「川崎病」と呼ばれています。
正式には「小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群」といいます。日本では毎年1万人以上のお子さんが発病しています。
主な症状として次の六つが挙げられ、五つ以上みられた時に典型的な「川崎病」と診断されます。(1)5日以上続く発熱(2)掌蹠紅斑(しょうせきこうはん)・浮腫(ふしゅ)(手足が赤く腫れる)(3)発疹(体幹に多く、形はさまざま)(4)白眼の充血(5)口唇紅潮(こうしんこうちょう)・イチゴ舌(唇が赤くなったり、舌がイチゴのように赤くブツブツした状態になったりする)(6)頸部(けいぶ)リンパ節腫脹(しゅちょう)(首のリンパ節が腫れたり、痛んだりする)−。これらの症状は発病から約10日間続きます。
川崎病では全身の血管に強い炎症が起こり、後遺症として冠動脈という心臓を取り囲む血管の一部がこぶのように膨らむ冠動脈瘤(りゅう)を残すことがあり、その頻度は3〜4%です。冠動脈瘤には血栓(血液の塊)ができやすくなり、冠動脈の内部を狭くしたり、冠動脈を詰まらせる心筋梗塞を起こしたりする危険があります。冠動脈瘤の大きさはさまざまで、大きいほど重症です。小さなものは発病後1〜2年程度で平均的な大きさに戻るのが一般的ですが、大きなものは残ります。
川崎病の急性期の治療は、強い炎症反応をできるだけ早期に抑えて、冠動脈瘤ができないようにするためにアスピリンという内服薬と免疫グロブリンという点滴注射薬を用いるのが主流で、ステロイド薬が使用されることもあります。
冠動脈に後遺症が残らなかった場合は、継続治療の必要はありませんが、発病後5年間は定期的な外来経過観察が必要です。冠動脈瘤が残った場合は、心筋梗塞を起こさないようにアスピリンなどの血液を固まりにくくする薬の服用を継続しながら、定期的な外来検査、必要に応じて心臓カテーテル検査などが必要になります。
梅沢哲郎(梅沢こども診療所所長・新潟市)