23)子どもの生活習慣病

 この記事をお読みの方の中には、お子さんやお孫さんをお持ちの方もおられるかと思います。お子さん、お孫さんはポッチャリしていませんか?

 今の日本では、とても多くの大人が高血圧や脂質異常症、2型糖尿病、そしてメタボリックシンドロームといった生活習慣病を患っています。これらの病気の一番の問題は動脈硬化(血管の壁が厚く硬くなり、破けたり詰まりやすくなる状態)が早く進んでしまうことです。

 動脈硬化は、それ自体は痛くもかゆくもありません。しかし、心臓病や脳卒中といった直接命に関わる病気の危険度を格段に上げ、寿命を短くしてしまう危険があるのです。

 生活習慣病の大きな原因の一つが、そう、肥満です。子どもであっても、肥満である場合、生活習慣病を発症する危険が高くなります。そして子どもであっても、生活習慣病がある場合、すでに動脈硬化が進んでいることが分かっています。

 また、肥満は心の問題とも深く関連します。肥満の子どもたちが劣等感に悩んでしまうことは、まれではありません。このため引っ込み思案になったり、運動することが嫌いになったりすることがあります。時には引きこもりや不登校になるなど、健康的な日常生活を送れなくなってしまいます。こうなると運動不足や過食がさらにひどくなり、肥満が増長してしまう、という悪循環にはまり込んでしまいます。

 以上のように、肥満は子どもにとっても、心身ともに「万病のもと」といえます。肥満は体質もありますが、ご承知の通り食事の偏りや運動不足が大きな影響を与えています。肥満の予防・改善のために、まずは「早寝、早起き、朝ごはん」。規則正しい生活を家族みんなで心がけましょう。

 また県内の多くの市町村が行っている「小児生活習慣病(予防)健診」を受けてみることをお勧めします。子どもの体調が分かるだけでなく、家族全体の健康を考える良い機会にもなります。

 子どもたちが将来、生活習慣病で悩まないようにするためには、家族みんなの協力が大切です。

 小川洋平(新潟大学医歯学総合病院小児科)