18)夏に目立つ皮膚の病気
水分や塩分を十分に取って活発に動き、汗をかくことは子どもにとって大切なことですが、夏は汗や汚れにより皮膚のトラブルが増えます。
汗腺が汗で詰まると、あせもになってしまいます。額、首、脇の下、肘の内側、膝の裏側などによくできます。皮膚は赤みを帯びてただれ、痒(かゆ)みを伴います。予防には風通しがよく涼しいところにいる、すぐに汗を拭く、シャワーを浴びる、着替えをするといったことが大切です。衣類は、通気性と吸湿性に優れた木綿がよいでしょう。クーラーはあまり使い続けないようにしましょう。
半袖や薄着になって外遊びをする季節には、虫刺されも増えます。カやダニは夜間に室内に侵入して刺すので、やっかいです。また、ツバキなどの堅い葉には、無数の毒針をもつチャドクガがいるので、気を付けましょう。刺された直後よりも、1〜2日後に痒み、赤み、水ぶくれが出現することがあります。
あせも、虫刺され、傷を放置すると、とびひになることがあります。膿(うみ)をもった水ぶくれが、体のあちらこちらにできます。鼻からとびひが始まることがよくあります。
とびひの原因菌の90%は黄色ブドウ球菌ですが、そのうちの10〜30%は耐性菌のため治りにくいです。子どもの鼻の中や爪の先には黄色ブドウ球菌がいます。鼻をよくかみ、爪を短く切ることは、とびひの予防になります。手洗いの際には、指先もせっけんでよく洗いましょう。
水いぼは、夏に特別増えるわけではありませんが、プールや水遊びで裸になる機会が増えるため、目立ちます。つぶすと白い塊が出てきます。この中に水いぼのウイルスが含まれていて、かくと広がります。水いぼは体には無害ですが、自然治癒には半年以上かかることもあります。治療法としては、ヨクイニンの内服、局所麻酔薬テープを使用してのピンセット摘除術があります。
アトピー性皮膚炎がある子どもは皮膚のバリアー機能が低下しており、皮膚の病気が悪化しやすいです。最近の研究により、アトピー性皮膚炎では汗に対するアレルギー反応が存在することが明らかになっています。汗をよく洗い流し、保湿剤などを用いて、まめにスキンケアを行いましょう。
橋本尚士(はしもと小児科院長)