17)熱性けいれん
熱性けいれんとは、生後6カ月から5歳までの乳幼児に起こる38度以上の発熱に伴うけいれんです。突然意識がなくなり、白目をむき、体が硬くなり、呼び掛けても反応がなくなります。日本人では、10人に1人近くの高い頻度でみられます。
熱性けいれんはほとんどの場合、自然にすぐ止まり、心配のないものです。自分のお子さんが起こしたらとてもびっくりすると思いますが、落ち着いて対応することが大切です。
けいれんに気がついたら慌てて抱き上げたり、頬をたたいたりせず、熱があるか、けいれんの時間、どんな状態かをよく観察してください。
周りに危険なものがないことを確認し、お子さんの衣服を緩め、頭を少しそり気味にして呼吸の通り道をつくります。横に寝かせて顔も横に向け、吐いたものが気道に入らないようにします。かつては、けいれん中に舌をかむのを防ぐため、割り箸などを口に入れるということもやられていましたが、かえって窒息の危険や、吐き気を起こす恐れがあるので、行ってはいけません。けいれんが1回だけで数分以内に収まり、その後意識が戻って呼び掛けにも反応する場合、夜間であればそのまま休ませて翌日、医療機関を受診すれば問題ありません。
しかし、熱がないのにけいれんを起こした時や、10分以上けいれんが止まらない、意識が15分以上戻らない、短時間で繰り返す、部分的なけいれんなどの場合は、すぐ医療機関を受診しましょう。その際、けいれんが持続していれば、救急車を呼んで対応してください。
けいれんの大部分は心配のない単純型で、過半数は生涯で一度しか発作を起こしません。再発は25〜50%、3回以上の発作反復は全体の9%程度です。発作が部分的な場合や、15分以上持続する、1日2回以上発作を繰り返す場合は複雑型と呼ばれ、検査も検討します。
また熱性けいれんを繰り返し起こす場合は、薬で予防することも可能です。
庄司義興(庄司こども医院院長)