13)小児ぜんそく

 秋は、小児ぜんそくの発作が起きやすい季節です。気温や気圧の変化、夏の間に増えたダニの死骸やふんが要因となります。

 まず症状についてですが、赤ちゃんや2歳までの幼児は、発熱とせきが主な症状です。お医者さんが聴診器を当てて喘鳴(ぜんめい)があることで診断される場合が多いです。3歳以上になると、聴診器を当てなくても、ヒューヒューという呼気性喘鳴がきこえてきます。

 治療には、発作時の治療と毎日続ける治療とがあります。発作時は、気管支拡張薬を飲む、貼付する、吸入する治療があります。発作がなくても、気管支の粘膜に持続的な炎症が続いていますので、これを鎮める治療が必要です。ロイコトリエン受容体拮抗(きっこう)薬が用いられます。

 吸入ステロイドは比較的重症のぜんそくに使用します。電動式ネブライザーを用いて、1日2回ないし1回吸入することで、乳幼児でもステロイド吸入療法が可能となりました。この療法が導入されて以来、発作入院が激減し、ぜんそく発作死もほぼゼロとなりました。

 ぜんそくのお子さんがいる親御さんは、「いつ治るのだろうか」と不安に思っている方が多いと思います。3歳以下で発病したぜんそくは、二つのタイプがあります。一つは発病後1、2年はせきや喘鳴の症状を頻繁に繰り返しますが、4、5歳になると軽快するタイプです。もう一つは、4、5歳になっても、秋や春に発作を繰り返すタイプです。

 後者は、個々のアレルゲンに対して調べる特異的IgE抗体検査(RAST)でダニが陽性であり、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎などを合併していることが多いです。発病後、5年から10年くらいの治療が必要ですが、それでも3割程度は成人になるまで症状が続きます。

 ぜんそくの人は、日常生活で注意してほしいことがあります。「ペットを飼ってもよいですか」と相談されることがよくありますが、犬や猫、ハムスターなどはぜんそくの原因になるペットですので、新たに飼うことはお勧めできません。家庭でのダニ対策として、週2回は部屋の掃除と布団の手入れをすることが大切です。予防接種を受けてよいかも質問されますが、非発作時であれば問題ありません。RASTで卵白がスコア6の人は、インフルエンザワクチンについては、主治医と相談して決めましょう。

 五十嵐隆夫(いからし小児科アレルギークリニック院長)