8)水ぼうそうとワクチン

 水ぼうそうは正式には水痘と呼ばれ、水痘帯状疱疹(ほうしん)ウイルスによって起こる感染症です。日本国内では年間25万人くらいの報告があり、約8割が4歳以下の子どもです。

 主な症状は発疹と発熱で、発疹は小さい赤いブツブツから始まり、その後水ぶくれ状(水疱)になって体中に広がります。水疱は強いかゆみがあり、赤ちゃんはそのかゆみで不機嫌になることがあります。水疱は7〜10日でかさぶたになって治ります。多くの場合、重症化や合併症はありませんが、妊婦、新生児、免疫の低下している人がかかると重症化します。細菌2次感染、脳炎、急性小脳失調症などの合併症もまれにあります。

 また、水ぼうそうが治った後も体の中にウイルスが潜伏しているため、抵抗力が低下した時にはウイルスが再活性化し、帯状疱疹を発症することがあります。帯状疱疹は激しく痛んだり、長い期間痛みが続くことがあります。水ぼうそうの潜伏期は約2週間で、空気感染(患者さんから出て空気中に飛んでいるウイルスを吸い込む)や接触感染(患者さんの体に触れる)でうつります。

 治療としては、アシクロビルなどのウイルスに対して効果のある薬がありますが、発症早期でないと効果は少ないです。予防には水痘ワクチンがあり、水ぼうそうを防ぐには、ワクチン接種が重要になります。

 水痘ワクチンは日本で開発され、1回の接種で重症化は100%、2回の接種で軽症も100%抑えられます。帯状疱疹も予防できます。今年10月から水痘ワクチンは定期接種化され、1歳から3歳未満のお子さんは無料で2回受けられます。1回目と2回目の間隔は3カ月以上で、標準的には6カ月から1年です。

 水痘ワクチンは生ワクチンなので、接種後4週間は他のワクチンを受けることができませんが、他のワクチンと同時に接種しても問題はありません。水ぼうそうにかからないよう、1歳になったらできるだけ早く水痘ワクチンを受けるようにしましょう。

 平野春伸(済生会新潟第二病院小児科部長)