7)B型、C型肝炎

 B型肝炎、C型肝炎はいずれも肝炎ウイルスによる感染症です。一般的に、どちらも罹患(りかん)者の血液からの感染(血液感染)が主な感染経路ですが、子どもで一番問題となるのは母子感染です。

 B型肝炎はワクチンがあり、母親がB型肝炎罹患者の場合は公費(無料)で子どもに接種できるため、母子感染は減っています。C型肝炎はワクチンがありませんが、母子感染率は数%といわれます。母親が出産時に持っているC型肝炎ウイルスの量などが、母子感染率に関係しているようです。

 ウイルスに感染した後の経過は「一過性感染」と「持続感染」に分けられます。一過性感染は、感染はするけれども自分の免疫でウイルスを排除する一時的な感染です。一方、持続感染は長期にわたって主に肝臓にウイルスが存在し続けます。この持続感染こそ、将来の肝硬変や肝がんの発症につながる危険性があるのです。

 子どもがB型肝炎に感染すると、大人に比べて持続感染をする可能性が非常に高くなってしまいます。具体的には、乳児(1歳未満)でおよそ9割、幼児(1〜5歳)で2・5〜5割の確率で持続感染してしまいます。

 C型肝炎では、年齢を問わずおよそ7割が持続感染となります。なお、母子感染の場合は、3歳までに約3割が治癒するといわれています。

 C型肝炎には予防ワクチンがありませんが、通常は母乳、罹患者との抱擁、キス、飲食物の共有などで感染はしません。B型肝炎は母子だけでなく、ほかの家族(父など特に同居者)からの感染が問題となっています。母親以外の同居者はB型肝炎に感染しているか分からないことが多く、注意が必要です。

 さらに、B型肝炎ワクチンは子どものうちに接種すると、成人後の接種より高い効果が見込めます。子どものうちに感染すると持続感染になる可能性が高いことを踏まえると、幼少期に接種しておきたいワクチンです。

 大石智洋(新潟大学医歯学総合病院小児科助教)