4)食物アレルギー

 食物は生物の命を養うために最も大切なものですが、人によっては有害な症状がもたらされます。その一つが食物アレルギーです。給食の場での誤食による死亡事故を契機に、各自治体でも食物アレルギー対応について体制の整備を検討、実施しています。

 県内では幼稚園や保育園、学校での生活管理表が導入されておらず、原因食品を取り除いた「除去食」の対応が十分でないなどの現状があります。アレルギー症状が起きた時の医療機関受診、アナフィラキシーショック時のエピベン(緊急注射薬)自己注射、救急医療体制など整備すべき問題も多々あります。

 食物アレルギーには、表に示すようにいくつかの病型があります。それぞれ発症年齢、アレルギー反応の主体、耐性(小児の場合は成長とともに食べられるようになります)の獲得のしやすさなどに特徴があります。

 原因食品は卵、乳、小麦、甲殻類、ピーナツ、ナッツ類などさまざまで、それらの食品の蛋白成分に対し、特異的lg(免疫グロブリン)Eという抗体を作って反応します。甘味料、着色料などの化学成分も原因になることがあります。

 一方、lgE抗体の関与しないアレルギーもありますし、lgE抗体が陽性の食物を食べても大丈夫な人もいますので、単純に血液検査のみで判断できないこともあります。一定の方法で食べてみる「経口負荷試験」という検査を医療機関で受け、食べても大丈夫なのかどうかを確認していく必要もあります。

 アレルギー症状も皮膚、呼吸器、消化器の各症状、全身性の血圧低下、低酸素、意識障害にいたるアナフィラキシーショックまで多彩です。アレルギーのある人が症状に応じて、抗ヒスタミン剤やステロイドの内服、エピペンの自己注射、治療のタイミング、除去食の対応、原因食品の除去解除などを主治医に確認しながら、安全な食生活を送れるように社会の体制が整うよう望んでいます。

  上原 由美子(新潟市民病院小児科副部長)