1歳7か月の男の子。母親がごくりという音を聞き子どもを見ると、ダラダラとよだれをたらしていました。子どもの近くに、電池のとれた空気清浄機のリモコンが落ちていました。「電池を飲んだかもれない」と思った母親はすぐに受診しました。レントゲン検査で異物を確認し、全身麻酔をかけ内視鏡でリチウム電池を取り出しました。食道の粘膜は黒く変色していたそうです。また、別の1歳2か月の男の子は、引き出しにしまってあったリチウム電池を飲み込みました。救急受診し内視鏡で取り出しましたが、食道狭窄のため、しばらくの間、口から食べることができなくなりました。電池は家庭でたくさん使われています、アルカリ電池(乾電池)は、胃に入ると胃酸のため金属が腐食しアルカリ性の物質が出て胃粘膜の損傷がみられます。一方、リチウム電池(ボタン電池)は電流で粘膜を損傷しますので、胃酸がない食道内でも短時間で悪化するそうです。乳幼児が、突然よだれを出しながら苦しそうにしている場合は、リチウム電池の誤飲を疑う必要があります。リチウム電池は、胃の中にまで落ちてしまえば72時間以内に85.4%は自然に排泄されると言われていますが、食道で止まっている場合は緊急処置が必要です。
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