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新潟県小児科医会について 新潟県小児科医会には県内外の小児科医が200名ほど参加しています。会員に向けては、年2回ほどの学術講演会や会報発行で小児医学の研修や医学知識のブラッシュアップを図っております。会員同士のメーリングリストでは、さまざまな意見交換はもとより、県内の感染症発生状況、行政からの連絡事項などを速やかに情報共有しています。このホームページでは県内の感染症情報や予防接種の状況、病気についての情報を掲載しています。また会員ならびに地域の小児科医療・小児保健に関わる方々や子どもたちに関わる市民のみなさまと連携して親睦を深めたいと考えております。私たち新潟県小児科医会では多くのみなさまとのパートナーシップで協力し、よりよい世界を築いていけるようにと願っております。 会長就任のごあいさつ 令和4年4月より新潟県小児科医会第8代会長に就任いたしました奥川敬祥でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 私は平成元年に大学を卒業し小児科医になりましたが、この30年余りの間に小児科医療を取り巻く環境は大きく変遷しました。喘息や感染症で入院する子どもは減少する一方、最近は思春期の子どもたちのこころのケアや地域の小児保健、学校保健への参画、当会の永遠のテーマでもあります子育て支援への積極的関与、そして子どもたちの声を社会に届ける役割などが求められております。小児科医の役割、そして地域社会から小児科医に対して求められているものが大きく変化していることは、私たち小児科医全員が実感していることと思います。これからの小児科医は医療だけをしていればよいという時代ではもはやないようです。 また新型コロナウイルス・パンデミックの影響が続く中、全世界的に少子化が加速し、さらに今後も少子化が継続するとの予測がなされています。小児科外来の患者数は激減し、医療経済的にも小児科医療に大きな影響が及んでいます。地方では特に少子化が顕著になり、地域病院での小児科病床の集約や削減が現実のものとなっております。 また令和6年4月に迫った医師の働き方改革の問題があります。医師の時間外労働削減のために、小児科医が足りず、新潟県下各地域での病院小児科の集約を進める必要に迫られております。少子化なのに何故か小児科医が不足するという一見矛盾した問題です。これは私たち小児科医がこれまで働きすぎていたことを意味しているようにも思います。 これからの新潟県小児科医会をクルーズ船での船旅に例えるならば、まさに前途多難な船出でございます。このような時期に会長職をお引き受けしたことを少々後悔している自分もいるのですが、どちらも後悔(航海)先に立たずというところでしょうか?ただ、これだけ悪材料が出揃えば、あとは上を向いて上がるだけとも考えたいところです。実際少し明るい材料もございます。みなさまのご尽力もあり今年は9名の新入医局員をお迎えできるとのことですし、4月からは約9年振りにHPVワクチンの積極的勧奨も再開されました。成育基本法も成立し、妊娠・授乳期から成人期までの切れ目ない支援策が、私たち小児科医療の後ろ盾にもなってくれます。これを受けて来年令和5年4月にこども家庭庁の創設が決まりました。こども家庭庁創設により、OECD35か国の中では下から7番目に低いという日本の子育て支援事業費の増額を強く期待したいところです。子育て支援策はまさに日本の将来への投資であります。その増額は世界各国で出生率の増加につながることが報告されています。 新型コロナウイルスについても、すでにイギリスでは今年令和4年2月に社会的制限はすべて撤廃され、インフルエンザと同様に扱うこととされました。わが国でも今後1−2年くらいでしょうか?コロナ後の社会的出口戦略が議論されることになると思いますが、医療分野の出口戦略がどのようになるのか?私たち小児科医も互いに議論しながら実際に実感していくことになるでしょう。 「子どものため、子どもたちの未来のため、そして未来の子どもたちのため」この「3つの子どもの今と未来」という当会の理念を旨とし、また川崎前会長に教えていただいた真摯に問題解決に取り組む姿勢に習い、これらの難題に一つ一つ正面から向き合っていく覚悟でございます。ただ、この当会の理念「3つの子どもの今と未来」の実践のためには、私たち「小児科医の未来」も考える必要があると思います。 私も会長といえども一小児科医でございます。みなさまのご協力なしには何もできません。みなさまのご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして会長就任のご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 (令和4年4月記) |